-

ヘッジファンド業界、2012年は最大4,000億ドルの資金が動く

2012年1月30日

今年はヘッジファンド業界に大きな機会が到来する見込み

【2012年1月13日、ニューヨーク (和訳開示は1月30日)】 バークレイズ・キャピタルが本日発表したレポート「The Money Trail」によれば、ヘッジファンド業界にとって2012年は問題に直面しつつも大きな機会が見込める年になる見通しです。

レポートでは、バークレイズ・キャピタルが先般ニューヨークで開催したプライム・サービス・ヘッジファンド・シンポジウムで165人の投資家を対象に実施した調査を基に投資家への個別取材やその他の業界分析を加味して行った分析を紹介しています。シンポジウムで調査した投資家の運用資産は総額約4兆ドルで、うち約5,000億ドルがヘッジファンドに振り向けられています。これはヘッジファンド業界の運用資産総額の4分の1に相当します。

マクロ経済環境の先行き不透明感と最近のグローバル市場の不安定な動きを受け、ヘッジファンド投資家は今年、運用について数々の見直しを図る方針としています。しかし、調査した投資家の56%が今後12ヵ月間にヘッジファンドへのアロケーションを増やすと回答、その数はアロケーションを減らす方針の投資家の7倍以上に達するなど、こうした見直しの一部はヘッジファンドに大きな機会をもたらすものとみられます。2012年にヘッジファンドに新規資金を振り向ける可能性が最も高いのは、大学基金等およびプライベートバンク、公的年金です。

バークレイズ・キャピタルのプライム・サービス統括責任者であるアジェイ・ナグパルは次のように述べています。「分析結果によれば、今年は約800億ドルの新規資金がヘッジファンドに振り向けられるとみられます。2012年はヘッジファンドへの新規アロケーションが2007年以来の高水準に達する可能性があります。」

約800億ドルの新規資産に加え、投資家は既存ヘッジファンド資産のうちの約3,000億ドルについてヘッジファンド戦略内および戦略間でアロケーションを見直すものとみられます。これによりヘッジファンド業界では今後12ヵ月間に総額3,500億~4,000億ドルの資金が新たに動く可能性があります。これはヘッジファンド業界の現在の資産運用総額のほぼ5分の1に相当します。

新規資金の流入先としては、投資家は株価との相関が相対的に小さく、より戦術的でトレーディング志向型の戦略を増やす方針で、グローバル・マクロ戦略とシステマティック/ボラティリティ戦略に最も多くの資金が振り向けられる見通しです。最も大幅なアロケーション見直しが見込まれるのは株式戦略とクレジット戦略です。背景には、運用成績が低調な戦略からの資金引き揚げに加え、投資家が平均回帰を見込んでいることやこれら戦略の中でも特に専門性の高い商品を選好していることがあります。

振り子は中小規模マネジャーに振れる

投資家が選好する運用先を踏まえると、2012年もアロケーションに占める運用資産10億ドル未満のファンドのシェア拡大が続く見通しです。2011年1~9月の新規資金流入に占める小規模ヘッジファンドのシェアは2010年全体の水準の2倍に拡大しました(ヘッジファンド純資金流入総額比は9%から18%に上昇)。2012年もこうしたトレンドは続く見通しで、投資家の77%が小規模ファンドへのアロケーションを選好しています。これに対し、大規模ファンド(運用資産50億ドル超)へのアロケーションを増やす考えの投資家は10%にとどまります。

バークレイズ・キャピタルのプライム・サービス部門キャピタル・ソリューションズ責任者のルイス・モリナリは次のように述べています。「中小規模マネジャーは既存戦略を機動的に調整してアルファを創出するのに優れているとの投資家の声がしばしば聞かれます。多くの新規中小規模ファンドでは透明性が向上し、手数料や流動性の面で有利な条件を提供しており、ヘッジファンド業界のこのセグメントへの投資に対する投資家の信頼感は強まり続けています。」

この他の重要なトレンドとして、「The Money Trail」は次の点を指摘しています。 

  • 運用先のヘッジファンド・マネジャーを分散化する動きが続く
    • 60%の投資家がポートフォリオに組み入れるマネジャーの数を増やす計画。これに対し、現行水準を維持         する方針の投資家は25%、減らす投資家は15%にとどまる。
    • 40%の投資家はヘッジファンドへのアロケーションとポートフォリオに組み入れるマネジャーの数の両方を         増やす計画。これに対し、両方を減らす方針の投資家はわずか1%。
  • 投資家の最優先事項は引き続き流動性
    • 既存のヘッジファンド向けアロケーションの約90%は契約開始後のロックアップ(解約制限)期間が設定さ         れていない、もしくは1年と短いファンドに振り向けられている。
    • 流動性特性を変更する方針の投資家の過半数は流動性のより高い戦略へのアロケーションを増やしたい         としている。

バークレイズ・キャピタルのプライム・サービスはファイナンス、決済、執行サービスを資産クラスの枠を超えて総合的に世界各地のお客様にお届けしております。バークレイズ・キャピタルでは、資産保護、証拠金ソリューション、業界情報および見解、分析、執行技術に関する独自の枠組みを提供しております。バークレイズ・キャピタルは、HFM Week誌の2011年米国サービス・プロバイダー賞で最優秀プライム・ブローカー・テクノロジー・プロバイダーに選ばれたほか、Global Custodian 誌の2011年プライム・ブローカレッジ・サーベイで113の回答者から「ベスト・イン・クラス」、同誌のOTCデリバティブ・プライム・ブローカレッジ・サーベイでは130の回答者から「ベスト・イン・クラス」に選ばれるなど、そのリーダーシップは数々の業界アンケートや調査で認められています。

注記
The Money Trailの分析結果は比較的少数の投資家の回答に基づくもので、ヘッジファンド業界全体の動向を必ずしも表していない可能性があります。

バークレイズ・キャピタルについて

バークレイズ・キャピタルは、バークレイズ・バンク・ピーエルシー(バークレイズ銀行)の投資銀行部門です。 独自のビジネスモデルに基づき、世界中の政府、金融機関、事業法人に向けて広範囲にわたる戦略的アドバイス、資金調達およびリスク管理に関するサービスを提供しています。バークレイズ・キャピタルは、世界各国で約25,000人の社員を擁し、世界中のお客様のニーズに的確に対応する業務体制を敷いております。

本件に関するお問い合せ先:
バークレイズ・キャピタル広報    林原麻里子 / 戸塚真理奈    TEL +81 3 4530 5623 / 5602

ヘッジファンド業界、2012年は最大4,000億ドルの資金が動く

Up to $400 Billion of Money ‘In Play’ for Hedge Funds in 2012